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大国主神とキリストの共通点

みなさんこんにちは。ご訪問ありがとうございます。

大国主/キリスト
大国主神の絵画:「大穴牟知命」青木繁 1905年
キリストの絵画:「十字架降下」コレッジョ 1526年


今日は日本神話における重要な位置づけにある大国主神とキリストとの共通点についてご紹介したいと思います。なんともミスマッチに感じるこの二人ですがよく比較してみると意外に共通点が多くて、宗教的というより民俗学的に興味深いと思います。
最近になって大国主神とキリストとの類似性について気づいて、ネットで調べてみるとその類似性については複数の方が指摘しているようですが、具体的な共通項について紹介しているサイトが見当たりませんでしたのでご紹介したいと思います。
まず、大国主神とキリストについてごく簡単にまとめてみます。

〇大国主神
天津神が降りてくるまでこの地上世界を統治していた重要な神です。
大国主神は青年時までオオナムヂ(大穴牟知)と言い、出雲に住んでいました。オオナムヂには大勢の異母兄がいて、ほとんど召使か奴隷のように扱われていました。
異母兄達が因幡のヤガミ姫に求婚に出向くとき、オオナムヂは兄達の重い荷物を背負わされて付き添わされますが、少し遅れて付いていきます。荷物がよほど重かったのでしょう。
その途中の海岸で兄達に騙されて瀕死状態となっているウサギに出会ったオオナムヂはけがの処方を教えます(因幡の白兎伝説)。生き延びることができたウサギは、ヤガミ姫はオオナムヂを結婚相手に選ぶであろうと予言し実際その通りになります。
怒った異母兄達はオオナムヂを罠にかけて焼けた大石で潰し殺してしまいました。
彼の死を知った母のサシクニワカ姫は嘆き悲しみ、天のカミムスヒの神に助けを求めました。カミムスヒは日本神話で最初に登場する極めて高貴な性別のない三神のうちの一柱です。カミムスヒはサシクニワカ姫の願いを聞き入れ、二神の女神を地上に遣わせてオオナムヂを生き返らせます。上図左側の絵画はこのときのシーンです。
ところが、オオナムヂが生きていることを知った兄たちはまたしても彼を騙して殺してしまいます。母のサシクニワカ姫は、今度は自らの力でオオナムヂを蘇生させて遠い地へ彼を逃がします。このあとオオナムヂはさらに多くの試練を乗り越えてやがて大国主神としてこの地上の統治者に君臨することになります。

〇キリスト
キリストは男の十二使徒や、聖母マリアおよびマグダラのマリアなどの女性たちとともに各地を廻って布教活動をしていました。キリストは病人を治すなどの奇跡を起こしたりしましたが、時の権力者に目を付けられて捕らわれます。このとき、弾圧を恐れた男の信者達は全て逃げ散ってしまい残ったのは女性たちだけでした。
処刑が決まったキリストは自ら重い十字架を背負わされて刑場に向かい、磔に処せられて殺されてしまいます。最後まで従った聖母マリアたち女性は嘆き悲しみます。上図右側の絵画はこのときのシーンです。
殺されたキリストは埋葬されますが、数日後に生き返ったと言われています。


≪共通点≫
1.大国主神には多くの異母兄、キリストには十二使徒というように、両者とも行動を共にする関係の深い男たちがいました。
2.大国主神はウサギのケガを治し、キリストは病人を治しました。少なくとも日本神話においては病を治す能力を持っているのは大国主神だけのようです。
3.大国主神は兄の重い荷物を、そしてキリストは重い十字架を背負わされています。
4.大国主神もキリストも権力的な強者によってむごい殺され方をしています。
5.大国主神もキリストも母親がその死を嘆き悲しんでいます。
6.大国主神もキリストも、死ぬときやその直後にまわり付き添ったのは女性たちだけでした。それに対して男たちは臆病者や悪者として表現されています。
また、大国主神を救うために天から遣わされた二神の女神は、キリストに帯同していた聖母マリアとマグダラのマリアに対応させることができましょうか。キリスト教で聖母マリアは神格視されていますが、もう一方のマグダラのマリアも本来は神聖な存在なのかもしれません。
ベストセラーのダビンチコードを読まれた方は納得されるでしょうか。
7.大国主神もキリストも殺されたのちに生き返っています。

かなり共通点が多くて興味深いと思います。では、大国主神=キリスト なのでしょうか? いや、この両者は生きた時代も地域も違って別人でしょう。
世界各地の神話、昔話および民話には不思議と同じような内容のものが多いというのは周知の事実であって、大国主神とキリストもその一例なのだと思います。
おそらく元ネタとなる話が存在してその話が時代と地域を超えて伝承されていくうちに少しづつ内容が変化して、大国主神の話とキリストの話に反映されたのではないでしょうか。

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