
イルカ・クジラ打上げに思う
クジラの海辺への打ち上げは生態系の循環サイクルだ
ご訪問ありがとうございます。
茨城県で大量のイルカが浜辺に打ち上げられて、海へ戻す作業が行われていると報道されています。「地震の前触れか?」と心配する人もいるようですね。
懸命の作業にもかかわらず海へ戻せたのは少数にとどまっているようです。作業する人たちは動物愛護の志を持つ方々であってとても偉いと思いますし、もちろんイルカたちもかわいそうだと思います。
ときおりイルカやクジラ、まれにサンマなどの大量の小魚が海辺に打ち上げられて話題になっていますね。
そのたびに専門家が「○○の理由によって方向感覚を失ってしまったものと思われる」、と見解を述べています。
でも、私はド素人ですが以前からこれは少し違うのではないかと思っているのです。ミクロ的理由としては正しいのかもしれませんが、もっと別なマクロ的理由が含まれているように思えてなりません。
ここではイルカではなくてクジラを例にします。
クジラの生態を考えてみましょう。クジラはあの巨体で世界中の海を数千キロも回流して過ごしています。
クジラのエサは南極周辺やアラスカ・シベリア周辺の寒冷地で爆発的に大量発生するオキアミなどの小魚です。クジラはきわめて大量のオキアミ等を食べることによってあの巨体を維持しています。オキアミはやはり寒冷地で大発生するプランクトンを食べています。このうち動物プランクトンは植物プランクトンを食べます。植物プランクトンは海中の有機物と太陽光によって成長します。では海中の有機物とはどこからやってくるのでしょうか? 海はもともと生物の宝庫で有機物は十分にあるのでしょうが、それだけではなくて陸地からも供給されてきます。特にシベリアやアラスカは大樹林帯で木々から落ちる大量の落ち葉は川によって流されて海に排出されます。南米アマゾン樹林帯でも同様でしょう。
「アリューシャンマジック」という言葉があるそうです。これはシベリア・アラスカ樹林帯から川を介して供給される陸上の養分に基づいてプランクトンや小魚が爆発的に大発生し、それを求めてクジラや鳥類が大集結する現象です。
オキアミは地球上で最も成功している動物であるといわれているそうで(決して人間が一番成功している生物ではない)、クジラはこの無尽蔵ともいえるエサを極地の海で腹いっぱい存分に食べ、栄養補給をしたのちに長い回遊の旅に出発するのです。
でも、いくらおなか一杯食べて脂肪という形で体内に蓄えても長旅の間にはいずれ空腹になってしまいますね。そこでエサにするのが深海のイカだといわれています。深海にはダイオウイカなどが生息していていクジラのよいエサになっているようです。
ところで、みなさんはあの異常なほど巨体のクジラが回遊する様子から何を連想するでしょうか? 長距離航海する巨大貨物船やタンカーのイメージがありませんか? 実際上、クジラは極地で大量発生する養分をオキアミという形で体内に取り込んで、そして世界中に運んでいることになるのですから貨物船と同じ働きをしているとも言えます。
また、黒くて長い巨体は潜水艦を連想させますが、確かにイカを捕食するために潜水艦と同様に海深く潜っていきます。
さてさて、アリューシャンマジックという現象はシベリアなどの陸上の樹木の養分によって支えられており、その恩恵でオキアミやクジラがハッピーになれる訳ですが、その養分の供給元である陸上の樹木にしてみれば困ったことになってしまいます。陸側は一方的に海側に養分供給という形で貢献しているだけでは、いずれ大地が痩せ細って植物が育たなくなってしまいます。植物が減れば動物も生きて行けません。
したがって、陸上の生態系を維持するためにはどうしても海側からの栄養分のフィードバックを受けなければなりません。養分の循環サイクルがどうしても必要です。
自然界はすべてが循環サイクルで成り立っています。循環しないシステムは確実に破綻します。
日本人は魚が好きでクジラ漁を含む漁をして海の恵みを陸側へと引き上げていますが、ほとんど自分たち人間が食べるだけで循環サイクルの一端を担ってる訳ではありません。
そもそも自然とは基本的に人間の営みが介在しなくてもそのシステムが成り立つものです。人間の自然に対する働きかけというのはたかだた五千年か一万年に過ぎません。地球の年齢からみてほんの一瞬の時間です。自然とはそれよりはるか昔から安定したシステムを構築してきているのですから。
では、陸と海との養分の循環はどのように行われているのでしょうか。鮭の遡上や熊がアザラシや鮭を捕食するのもそうですが、私はクジラの陸への打ち上げがその重要な一形態であると思うのです。テレビでホッキョクグマが打ち上げられたクジラを食べているのを見たこともあります。
クジラは極地や深海という特殊な場所にある養分を大量に摂取して巨大な体に蓄え、海流とともに世界中の海に拡散させるべく運搬し、自らの死をもって他の生き物に供給する重要な任務をになっているのではないでしょうか。そして、その一部は陸上にも養分をフィードバックさせるために浜辺に打ち上げられる。
生態系は陸上と海中でそれぞれある程度独立的に循環サイクルを形成しているのかもしれませんが、全く無関係なわけではなくて互いの循環サイクルの不足分や過剰分を相互に補う必要があるのだと思います。
そして、各地で見られるクジラの打ち上げはその循環サイクル補償のための自然摂理による現象ではないかと考えるのです。
一頭のクジラで過剰な場合には、適量となるように複数のイルカがそれを代用する。今回の茨城県の場合のように。
そういえば、茨城県は北海道に次ぐ全国第二位の農業県です。それだけ土地の栄養が必要な場所ともいえます。また、農業県北海道の浦河町でも去年に大量のイワシ打ち上げられたという報道がありました。
もちろん、クジラやイルカやサンマ自身はそんなこと意識してないのででしょうけど^^;
クジラの海辺への打ち上げは生態系の循環サイクルだ
ご訪問ありがとうございます。
茨城県で大量のイルカが浜辺に打ち上げられて、海へ戻す作業が行われていると報道されています。「地震の前触れか?」と心配する人もいるようですね。
懸命の作業にもかかわらず海へ戻せたのは少数にとどまっているようです。作業する人たちは動物愛護の志を持つ方々であってとても偉いと思いますし、もちろんイルカたちもかわいそうだと思います。
ときおりイルカやクジラ、まれにサンマなどの大量の小魚が海辺に打ち上げられて話題になっていますね。
そのたびに専門家が「○○の理由によって方向感覚を失ってしまったものと思われる」、と見解を述べています。
でも、私はド素人ですが以前からこれは少し違うのではないかと思っているのです。ミクロ的理由としては正しいのかもしれませんが、もっと別なマクロ的理由が含まれているように思えてなりません。
ここではイルカではなくてクジラを例にします。
クジラの生態を考えてみましょう。クジラはあの巨体で世界中の海を数千キロも回流して過ごしています。
クジラのエサは南極周辺やアラスカ・シベリア周辺の寒冷地で爆発的に大量発生するオキアミなどの小魚です。クジラはきわめて大量のオキアミ等を食べることによってあの巨体を維持しています。オキアミはやはり寒冷地で大発生するプランクトンを食べています。このうち動物プランクトンは植物プランクトンを食べます。植物プランクトンは海中の有機物と太陽光によって成長します。では海中の有機物とはどこからやってくるのでしょうか? 海はもともと生物の宝庫で有機物は十分にあるのでしょうが、それだけではなくて陸地からも供給されてきます。特にシベリアやアラスカは大樹林帯で木々から落ちる大量の落ち葉は川によって流されて海に排出されます。南米アマゾン樹林帯でも同様でしょう。
「アリューシャンマジック」という言葉があるそうです。これはシベリア・アラスカ樹林帯から川を介して供給される陸上の養分に基づいてプランクトンや小魚が爆発的に大発生し、それを求めてクジラや鳥類が大集結する現象です。
オキアミは地球上で最も成功している動物であるといわれているそうで(決して人間が一番成功している生物ではない)、クジラはこの無尽蔵ともいえるエサを極地の海で腹いっぱい存分に食べ、栄養補給をしたのちに長い回遊の旅に出発するのです。
でも、いくらおなか一杯食べて脂肪という形で体内に蓄えても長旅の間にはいずれ空腹になってしまいますね。そこでエサにするのが深海のイカだといわれています。深海にはダイオウイカなどが生息していていクジラのよいエサになっているようです。
ところで、みなさんはあの異常なほど巨体のクジラが回遊する様子から何を連想するでしょうか? 長距離航海する巨大貨物船やタンカーのイメージがありませんか? 実際上、クジラは極地で大量発生する養分をオキアミという形で体内に取り込んで、そして世界中に運んでいることになるのですから貨物船と同じ働きをしているとも言えます。
また、黒くて長い巨体は潜水艦を連想させますが、確かにイカを捕食するために潜水艦と同様に海深く潜っていきます。
さてさて、アリューシャンマジックという現象はシベリアなどの陸上の樹木の養分によって支えられており、その恩恵でオキアミやクジラがハッピーになれる訳ですが、その養分の供給元である陸上の樹木にしてみれば困ったことになってしまいます。陸側は一方的に海側に養分供給という形で貢献しているだけでは、いずれ大地が痩せ細って植物が育たなくなってしまいます。植物が減れば動物も生きて行けません。
したがって、陸上の生態系を維持するためにはどうしても海側からの栄養分のフィードバックを受けなければなりません。養分の循環サイクルがどうしても必要です。
自然界はすべてが循環サイクルで成り立っています。循環しないシステムは確実に破綻します。
日本人は魚が好きでクジラ漁を含む漁をして海の恵みを陸側へと引き上げていますが、ほとんど自分たち人間が食べるだけで循環サイクルの一端を担ってる訳ではありません。
そもそも自然とは基本的に人間の営みが介在しなくてもそのシステムが成り立つものです。人間の自然に対する働きかけというのはたかだた五千年か一万年に過ぎません。地球の年齢からみてほんの一瞬の時間です。自然とはそれよりはるか昔から安定したシステムを構築してきているのですから。
では、陸と海との養分の循環はどのように行われているのでしょうか。鮭の遡上や熊がアザラシや鮭を捕食するのもそうですが、私はクジラの陸への打ち上げがその重要な一形態であると思うのです。テレビでホッキョクグマが打ち上げられたクジラを食べているのを見たこともあります。
クジラは極地や深海という特殊な場所にある養分を大量に摂取して巨大な体に蓄え、海流とともに世界中の海に拡散させるべく運搬し、自らの死をもって他の生き物に供給する重要な任務をになっているのではないでしょうか。そして、その一部は陸上にも養分をフィードバックさせるために浜辺に打ち上げられる。
生態系は陸上と海中でそれぞれある程度独立的に循環サイクルを形成しているのかもしれませんが、全く無関係なわけではなくて互いの循環サイクルの不足分や過剰分を相互に補う必要があるのだと思います。
そして、各地で見られるクジラの打ち上げはその循環サイクル補償のための自然摂理による現象ではないかと考えるのです。
一頭のクジラで過剰な場合には、適量となるように複数のイルカがそれを代用する。今回の茨城県の場合のように。
そういえば、茨城県は北海道に次ぐ全国第二位の農業県です。それだけ土地の栄養が必要な場所ともいえます。また、農業県北海道の浦河町でも去年に大量のイワシ打ち上げられたという報道がありました。
もちろん、クジラやイルカやサンマ自身はそんなこと意識してないのででしょうけど^^;
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