
ウクレレの選び方:細部仕様
ご訪問ありがとうございます。
ウクレレという楽器はピアノ、バイオリン、ギターなどに比べて歴史が浅いためにディフェクトスタンダードというものが存在せずメーカによって仕様がまちまちです。
話がそれますが、ピアノは現在どのメーカでも似た仕様になっていますが、私は高級機で有名なベヒシュタイン製の250年前のピアノを弾く機会があったのですが、鍵の抵抗感がなくてスカスカで、しかも押し下げストロークが浅くて現代ピアノと全く違っていました。ピアノも長い年月をかけて仕様が変遷して現在の形に収束したのだと思います。
バイオリンのように無意味な装飾部まで固定形骸化していたり、旧態依然のペグの採用などの保守的膠着状況には強い疑問を感じますけどね。
一方、ウクレレはまだ歴史が浅くて「何でもアリ」の状況となっています。したがって購入者にとって弾きやすい機種を慎重に選ばなくてはいけません。
特に初心者は自分の買ったウクレレが弾きやすいのか弾きにくいのかも判断ができず、しばらく時間がたってから実は自分に合っていない楽器を使っていたと気づくということもあります。他でもない私自身がそうでした。
有名ブランドなら大丈夫だろうという安易な判断は危険です。後で具体的にご紹介しますが、有名メーカーであっても標準寸法からかなり外れた寸法を採用したり、少し疑問を感じる特殊構造を採用しているところもあります。
ですので、できれば実機を手に取って確認してから購入するのが望ましいのですが、通販を利用する場合も疑問点があれば出品者にメールで確認をすることをお勧めします。
楽器選びの基準を挙げれば音色、弾きやすさ、見た目、ブランド、価格、製造国、耐久性、信頼性などでしょうか。当然ウクレレも同じなのですがこの中でも「弾きやすさ」についてはネット上でもあまり論じられていませんので、私の考える弾きやすいウクレレについて少しご紹介させてもらいます。
ウクレレにかぎりませんが「音はいいのに弾きにくい」という楽器は意外に多いのです。
・ネック厚さ
ネック厚さ(弦の並びと垂直な方向)はメーカーによってかなり異なり、ハワイ製は厚く日本製は薄いという傾向があるようです。もちろん例外もありますが。
日本人は海外の人と較べて手が小さいので薄いネックを選ぶ傾向もあるようです。しかし、薄すぎるネックは力が入りませんので注意が必要です。上級者ほど指の力を抜いてコードを押さえられるのかもしれませんが、初心者の場合は難しいコードを押さえるのには親指にかなり力を入れることになると思います。私もそうですが、良し悪しは別として実際上どうしても親指に力をいれなくては複雑なコードを押さえられないのです。イメージ的には「握りやすさ」と表現してもいいでしょう。薄すぎると「握れない」という感じでどうにも力が入らず、「弾きにくい」と感じてしまうのです。
例えるなら、包丁で硬いものを切るときに細めの柄よりも太めの柄の方が適しているようなもの、と言えばいいでしょうか。
ではウクレレの場合ではネック厚さはどの程度が適当なのでしょうか?
1フレット部分の一番薄い箇所でだいたい18mmくらいが標準のようです。この部分の厚さが16mmあるいは20mmだとかなりの違いを感じるはずですが、残念ながらスペック表には載っていない数字です。
日本における比較的高級機分野の代表的メーカであるT’sの製品は16mmほどでかなり薄く感じますので、初心者の方はそのへんを十分認識しておくべきでしょう。
私はAria(廉価ギターでは定評のあるメーカー)の最廉価のコンサートサイズを通販購入したことがありますが、これはネックが非常に厚くて扱いにくく、下記写真のように自分でやすりで削って19mmほどにしてしまいました。

・フレット高さ
フレット高さについても言及している人は非常に少ないようで、スペック表にも載ってませんが注意すべき事項だと思います。
私もつい最近までは全く気にかけていなかったのですが、セーハを多用するやや難しい曲を弾く際にウクレレによって弾きやすさが違うことがあり、なぜなのかと考えてみたらフレット高さが影響していたのです。高いフレットの機種は弾きやすく、低いフレットの機種では弾きにくい。
ノギスで測ってみると1.0mm高さのフレットと0.7mm高さのフレットの二種類があるようで、目視でも十分に区別可能です。ちなみに手持ちのクラシックギターでは1.2mmでした。
フレット高さの計測は、108円ノギスでよいので用意して下図のように測ればOKです。この計測方法は意外とショップの人も分かってない場合もあるようです。

低いフレットは弦の変形量が少ないので音程が安定するみたいなのですが、変形の余裕代が小さいのでセーハは難しくなります。速めの曲でセーハを含む難しいコードを押さえるのは初心者にとっては困難でしょう。ハンマリングやプリングもフレットが高い方が楽です。
特に、私の場合ですが、薄いネックで低いフレットの機種はその負の相乗効果によって非常に弾きにくく感じてしまいます。
私の手持ちのウクレレを見ると、どうやら初心者向け機種は高いフレットで、上位機種ほど低いフレットを採用しているようです。
初めてウクレレを購入する方は、フレット高さについても考慮されることをお勧めします。
それから、これは最近気づいたことなのですが、どうも1台のウクレレでも位置によってフレット高さが微妙に違うこともあるようです。具体的には私の手持ちのある有名メーカーのウクレレなのですが、ハイポジションでは0.7mmなのに1~3フレットあたりでは0.5mm程度しかありません。使用により擦り減ったわけでもなさそうで、最初からこのようになっていたとしか思えません。
ローポジション~ハイポジションにわたってフレット頂部は直線状に並んではいるのですが、どうもその直線が指板と並行にはなっていないようなのです。
考えるに、メーカーの調整段階でのフレット摺合わせが上手くなかったのではないでしょうか。
ローポジションでのフレット高さが0.5mmではかなり弾きにくくて、自分でフレット交換をしようかと悩んでいるところです。(業者に依頼するとフレット交換の工賃は3万円以上はするようです。)
・ネック幅
ネック幅(弦の並び方向)はメーカ間によるばらつきは少ないのですが、弾きやすさに直結する部分ですので一応注意しましょう。サイズに関係なく36mmくらいが一般的です。
日本における比較的廉価機分野の代表的メーカであるFamousの製品はやや広くて37.5mmです。歴史と信頼のあるメーカで弾きやすいということでも定評がありますが、ネック幅と弦間隔が標準値でないということは認識しておきましょう。
・サドル上の弦間隔
ナット上の弦間隔は各社でそれほど差がないのですが、反対側のサドル上の弦間隔はメーカにより全くばらばらで十分な注意が必要であると考えます。
弦間隔は演奏性に直結する重要なポイントであるはずなのに、なぜか誰も全く論じていないようでして不思議です。
サドル上で1弦~4弦の標準値は40mmくらいですが、機種により42mmのものも散見されます。
ところがウクレレの王様といわれるカマカでは45mm(コンサートサイズ)であり、人によれば少し違和感を感じるはずです。私がカマカを購入しない理由です(高くて買えないという理由の方が大きいけどTT;)。
さらに他のメーカでは50mmの機種を見たこともあります。多くの人は50mmではさすがに弾きにくいと感じるはずですので十分に注意してください。特に手の小さい人はハイポジションでのコードを押さえづらくなります。また右手のストローク幅を広くしないといけないのでジャカソロには向かなくなります。
見た目でもおおよその判断ができます。1弦と4弦が「並行ではないんだけどかなり並行に近い」と感じるのは40mmくらいで、「並行ではなくて確実に広がっている」と見えるのは45mmくらいで、「ガバッと開いていて八の字みたい」と感じるのは50mmくらいです。
私は以前にカマカ・ジャパンに対してサドル上の弦間隔が標準値より広いことについての理由をメールで尋ねたことがありますが回答はもらえませんでした。
今後、業界で統一基準を作ってほしい寸法です。
・指板両端と1弦および4弦との間隔
指板端と1弦(および4弦)との間隔もメーカによってばらばらです。この間隔が広すぎれば弦を指で押さえにくいし、狭すぎれば手のひらが弦に当たりやすくなってしまいます。
ナット端で指板端から1弦中心まで測ると標準的には3.5mmほどですが、2.5mmや4mmという機種もあります。
また、12フレット部で同様に測ると標準値というものはなくて、3.5mm~6.5mmほどで全くバラバラです。
・ボディ厚み
ボディは大きいほど抱えにくくなりますが、厚みについても同様です。このボディ厚もメーカによってばらつきがあります。
標準的にはソプラノで60mm、コンサートで65mm、テナーで70mmくらいです。70mmでは抱えるのに少し厚みが感じられます。
逆に薄すぎても抱えにくいとは思うのですが、エレキギター出身の方は薄いボディに慣れているかもしれませんから極端に薄い仕様の「薄レレ」を選択してもいいでしょう。薄ければ音質的に不利なはずですが、実際に試奏させてもらったところ意外にもいい音がしていました。
・ボディ形状
通常のひょうたん型かピーナッツ型をおすすめします。その他(パイナップル型など)は音質に影響をしますし抱えにくい場合もあります。
カッタウェイ型も最初は避けた方が無難と思います。
・ボディエッジの面取り
これもほとんど誰も指摘していないようですが、廉価機ではボディのエッジを全く面取りしていない機種が散見されます。廉価機分野で極めて高い評価を得ているFamousでも面取りされていない機種があります。
演奏性や音色に影響はないのですが、夏場に半袖で抱えているとエッジ部が手に当たって次第に痛くなってきます。ほんのわずかでもいいので面取りされている機種が望ましいと思います。
面取りされていない機種ではエッジ部に何かクッション代わりの薄地材を貼りたくなるところです。なお、ボディのバインディングは装飾目的なのですが、結果として面取り機能も兼ねられています。
私は面取りされていない廉価機は自分で紙やすりで面取りをしてしまいました。勇気のある方はお試しを…
下記写真は面取りが十分深く成形されている例です。

・ネック接続
12フレット接続が最もバランスがよいと言われているようでして、クラシックギターなども12フレット接続ですね。見た目もいかにもバランスよくデザイン的にも好感が持てます。
しかしソロ演奏、メロディー演奏をする場合には高音も頻繁に使用しますので12フレット接続だと少々窮屈になりますので14フレット接続を選択した方がいいと思います。
ちなみに、12フレット位置は弦長のちょうど半分長さになっています。
・弦
弦は音色に直接影響する重要部品ですが、多くのサイトで紹介されていると思いますのでここでは説明を省略します。
・サドル
ウクレレの音色は第一に本体が重要ですが、弦とサドルもかなり強く影響します。演奏性には影響がないのですが重要部品だと思うのでサドルについて触れてみます。
サドルの主な種類はプラスチック、牛骨、人工象牙(TUSQ)、硬質木材が挙げられます。
牛骨は最も一般的でいい音がでます。
人工象牙もいい音で標準装備の機種もありますが、やや硬質な独特な音なので好みは分かれるかもしれません。私は一度試してみたことがありますが今は使ってません。
「人工象牙」というサドルがあるからには「天然象牙」のサドルも存在しますが、高すぎて庶民では選択肢に含まれないと思います。お金持ちの方は試してみてください。
硬質木材はまろやかでいい音を出すのでおすすめしたい素材でして個人製作家のウクレレによく搭載されています。なのですが、残念ながらウクレレ用(又はギター用)の硬質木材サドルというのは市販されていないようです。どうしてなのかなぁ?
私は硬質木材サドルの音色が好きで、大きいホームセンターで適当な板材を入手して自分で成形してサドルを作っており、私の手持ちのウクレレはほぼすべてが硬質木材サドルになっています。皆さんも是非試してみてください。
下記写真は自作木製サドルです。

「硬質木材サドル」がいい音が出るのなら「軟質木材サドル」はどうなのか?
う~ん、、分からないです。今度試してみますね。
廉価機ではプラスチックサドルがついていますが、これはあまり良くありません。牛骨などに交換しましょう。
他に、金属(アルミなど?)、ポリエチレン、ガラスなどで作ったらどういう音になるのか興味もありますが、ダメダメ音でしょうかね。
・サドル溝幅と溝深さ
多くの人は定期的に弦交換をされていますが、サドルを自分で交換をする人は割と少ないかもしれません。
理由としては劣化する部品ではないこと、サドルによる音色の違いがあまり認識されていないこと、そしてサドル成形が面倒なことでしょう。
サドル交換自体は弦交換よりも楽なのですが、市販されているサドルを買ってきてもそのままではブリッジ上のサドル溝に挿入できないのでヤスリを使って幅と高さを自分で調整しなければなりません。これが面倒なのです。市販の牛骨サドルを適正寸法に成形するのには手作業で30分から1時間くらいはかかると思いますし、汗だくになってしまいます。ショップによっては加工してくれると思いますが、工賃はかかるでしょう。
なぜ最初から幅だけでも適正値に成形されていないのでしょうか? それはメーカーによってサドル溝幅も溝深さもバラバラだからです。溝深さはともかく溝幅だけでも統一してもらいたいものですが、実情は2.3mm~3.2mmくらいの範囲でばらついています。
上記のようにサドルは音色に影響を与える部品なので、逆にいえば交換して音色の違いを楽しむこともできるのですが各社の溝幅、溝深さに違いがあるので、
機材ごとに専用サドルを作らなければならず、複数のウクレレ間でサドルを交換するというようなことはできないのが実情です。そしてサドルの加工は大変なのです。
知り合いのウクレレ奏者に「この木製サドルいいよ。ちょっと使ってみない?」とお貸しすることもできないわけです。
サドル溝幅と溝深さも業界で統一してもらいたいと思っています。
ご訪問ありがとうございます。
ウクレレという楽器はピアノ、バイオリン、ギターなどに比べて歴史が浅いためにディフェクトスタンダードというものが存在せずメーカによって仕様がまちまちです。
話がそれますが、ピアノは現在どのメーカでも似た仕様になっていますが、私は高級機で有名なベヒシュタイン製の250年前のピアノを弾く機会があったのですが、鍵の抵抗感がなくてスカスカで、しかも押し下げストロークが浅くて現代ピアノと全く違っていました。ピアノも長い年月をかけて仕様が変遷して現在の形に収束したのだと思います。
バイオリンのように無意味な装飾部まで固定形骸化していたり、旧態依然のペグの採用などの保守的膠着状況には強い疑問を感じますけどね。
一方、ウクレレはまだ歴史が浅くて「何でもアリ」の状況となっています。したがって購入者にとって弾きやすい機種を慎重に選ばなくてはいけません。
特に初心者は自分の買ったウクレレが弾きやすいのか弾きにくいのかも判断ができず、しばらく時間がたってから実は自分に合っていない楽器を使っていたと気づくということもあります。他でもない私自身がそうでした。
有名ブランドなら大丈夫だろうという安易な判断は危険です。後で具体的にご紹介しますが、有名メーカーであっても標準寸法からかなり外れた寸法を採用したり、少し疑問を感じる特殊構造を採用しているところもあります。
ですので、できれば実機を手に取って確認してから購入するのが望ましいのですが、通販を利用する場合も疑問点があれば出品者にメールで確認をすることをお勧めします。
楽器選びの基準を挙げれば音色、弾きやすさ、見た目、ブランド、価格、製造国、耐久性、信頼性などでしょうか。当然ウクレレも同じなのですがこの中でも「弾きやすさ」についてはネット上でもあまり論じられていませんので、私の考える弾きやすいウクレレについて少しご紹介させてもらいます。
ウクレレにかぎりませんが「音はいいのに弾きにくい」という楽器は意外に多いのです。
・ネック厚さ
ネック厚さ(弦の並びと垂直な方向)はメーカーによってかなり異なり、ハワイ製は厚く日本製は薄いという傾向があるようです。もちろん例外もありますが。
日本人は海外の人と較べて手が小さいので薄いネックを選ぶ傾向もあるようです。しかし、薄すぎるネックは力が入りませんので注意が必要です。上級者ほど指の力を抜いてコードを押さえられるのかもしれませんが、初心者の場合は難しいコードを押さえるのには親指にかなり力を入れることになると思います。私もそうですが、良し悪しは別として実際上どうしても親指に力をいれなくては複雑なコードを押さえられないのです。イメージ的には「握りやすさ」と表現してもいいでしょう。薄すぎると「握れない」という感じでどうにも力が入らず、「弾きにくい」と感じてしまうのです。
例えるなら、包丁で硬いものを切るときに細めの柄よりも太めの柄の方が適しているようなもの、と言えばいいでしょうか。
ではウクレレの場合ではネック厚さはどの程度が適当なのでしょうか?
1フレット部分の一番薄い箇所でだいたい18mmくらいが標準のようです。この部分の厚さが16mmあるいは20mmだとかなりの違いを感じるはずですが、残念ながらスペック表には載っていない数字です。
日本における比較的高級機分野の代表的メーカであるT’sの製品は16mmほどでかなり薄く感じますので、初心者の方はそのへんを十分認識しておくべきでしょう。
私はAria(廉価ギターでは定評のあるメーカー)の最廉価のコンサートサイズを通販購入したことがありますが、これはネックが非常に厚くて扱いにくく、下記写真のように自分でやすりで削って19mmほどにしてしまいました。

・フレット高さ
フレット高さについても言及している人は非常に少ないようで、スペック表にも載ってませんが注意すべき事項だと思います。
私もつい最近までは全く気にかけていなかったのですが、セーハを多用するやや難しい曲を弾く際にウクレレによって弾きやすさが違うことがあり、なぜなのかと考えてみたらフレット高さが影響していたのです。高いフレットの機種は弾きやすく、低いフレットの機種では弾きにくい。
ノギスで測ってみると1.0mm高さのフレットと0.7mm高さのフレットの二種類があるようで、目視でも十分に区別可能です。ちなみに手持ちのクラシックギターでは1.2mmでした。
フレット高さの計測は、108円ノギスでよいので用意して下図のように測ればOKです。この計測方法は意外とショップの人も分かってない場合もあるようです。

低いフレットは弦の変形量が少ないので音程が安定するみたいなのですが、変形の余裕代が小さいのでセーハは難しくなります。速めの曲でセーハを含む難しいコードを押さえるのは初心者にとっては困難でしょう。ハンマリングやプリングもフレットが高い方が楽です。
特に、私の場合ですが、薄いネックで低いフレットの機種はその負の相乗効果によって非常に弾きにくく感じてしまいます。
私の手持ちのウクレレを見ると、どうやら初心者向け機種は高いフレットで、上位機種ほど低いフレットを採用しているようです。
初めてウクレレを購入する方は、フレット高さについても考慮されることをお勧めします。
それから、これは最近気づいたことなのですが、どうも1台のウクレレでも位置によってフレット高さが微妙に違うこともあるようです。具体的には私の手持ちのある有名メーカーのウクレレなのですが、ハイポジションでは0.7mmなのに1~3フレットあたりでは0.5mm程度しかありません。使用により擦り減ったわけでもなさそうで、最初からこのようになっていたとしか思えません。
ローポジション~ハイポジションにわたってフレット頂部は直線状に並んではいるのですが、どうもその直線が指板と並行にはなっていないようなのです。
考えるに、メーカーの調整段階でのフレット摺合わせが上手くなかったのではないでしょうか。
ローポジションでのフレット高さが0.5mmではかなり弾きにくくて、自分でフレット交換をしようかと悩んでいるところです。(業者に依頼するとフレット交換の工賃は3万円以上はするようです。)
・ネック幅
ネック幅(弦の並び方向)はメーカ間によるばらつきは少ないのですが、弾きやすさに直結する部分ですので一応注意しましょう。サイズに関係なく36mmくらいが一般的です。
日本における比較的廉価機分野の代表的メーカであるFamousの製品はやや広くて37.5mmです。歴史と信頼のあるメーカで弾きやすいということでも定評がありますが、ネック幅と弦間隔が標準値でないということは認識しておきましょう。
・サドル上の弦間隔
ナット上の弦間隔は各社でそれほど差がないのですが、反対側のサドル上の弦間隔はメーカにより全くばらばらで十分な注意が必要であると考えます。
弦間隔は演奏性に直結する重要なポイントであるはずなのに、なぜか誰も全く論じていないようでして不思議です。
サドル上で1弦~4弦の標準値は40mmくらいですが、機種により42mmのものも散見されます。
ところがウクレレの王様といわれるカマカでは45mm(コンサートサイズ)であり、人によれば少し違和感を感じるはずです。私がカマカを購入しない理由です(高くて買えないという理由の方が大きいけどTT;)。
さらに他のメーカでは50mmの機種を見たこともあります。多くの人は50mmではさすがに弾きにくいと感じるはずですので十分に注意してください。特に手の小さい人はハイポジションでのコードを押さえづらくなります。また右手のストローク幅を広くしないといけないのでジャカソロには向かなくなります。
見た目でもおおよその判断ができます。1弦と4弦が「並行ではないんだけどかなり並行に近い」と感じるのは40mmくらいで、「並行ではなくて確実に広がっている」と見えるのは45mmくらいで、「ガバッと開いていて八の字みたい」と感じるのは50mmくらいです。
私は以前にカマカ・ジャパンに対してサドル上の弦間隔が標準値より広いことについての理由をメールで尋ねたことがありますが回答はもらえませんでした。
今後、業界で統一基準を作ってほしい寸法です。
・指板両端と1弦および4弦との間隔
指板端と1弦(および4弦)との間隔もメーカによってばらばらです。この間隔が広すぎれば弦を指で押さえにくいし、狭すぎれば手のひらが弦に当たりやすくなってしまいます。
ナット端で指板端から1弦中心まで測ると標準的には3.5mmほどですが、2.5mmや4mmという機種もあります。
また、12フレット部で同様に測ると標準値というものはなくて、3.5mm~6.5mmほどで全くバラバラです。
・ボディ厚み
ボディは大きいほど抱えにくくなりますが、厚みについても同様です。このボディ厚もメーカによってばらつきがあります。
標準的にはソプラノで60mm、コンサートで65mm、テナーで70mmくらいです。70mmでは抱えるのに少し厚みが感じられます。
逆に薄すぎても抱えにくいとは思うのですが、エレキギター出身の方は薄いボディに慣れているかもしれませんから極端に薄い仕様の「薄レレ」を選択してもいいでしょう。薄ければ音質的に不利なはずですが、実際に試奏させてもらったところ意外にもいい音がしていました。
・ボディ形状
通常のひょうたん型かピーナッツ型をおすすめします。その他(パイナップル型など)は音質に影響をしますし抱えにくい場合もあります。
カッタウェイ型も最初は避けた方が無難と思います。
・ボディエッジの面取り
これもほとんど誰も指摘していないようですが、廉価機ではボディのエッジを全く面取りしていない機種が散見されます。廉価機分野で極めて高い評価を得ているFamousでも面取りされていない機種があります。
演奏性や音色に影響はないのですが、夏場に半袖で抱えているとエッジ部が手に当たって次第に痛くなってきます。ほんのわずかでもいいので面取りされている機種が望ましいと思います。
面取りされていない機種ではエッジ部に何かクッション代わりの薄地材を貼りたくなるところです。なお、ボディのバインディングは装飾目的なのですが、結果として面取り機能も兼ねられています。
私は面取りされていない廉価機は自分で紙やすりで面取りをしてしまいました。勇気のある方はお試しを…
下記写真は面取りが十分深く成形されている例です。

・ネック接続
12フレット接続が最もバランスがよいと言われているようでして、クラシックギターなども12フレット接続ですね。見た目もいかにもバランスよくデザイン的にも好感が持てます。
しかしソロ演奏、メロディー演奏をする場合には高音も頻繁に使用しますので12フレット接続だと少々窮屈になりますので14フレット接続を選択した方がいいと思います。
ちなみに、12フレット位置は弦長のちょうど半分長さになっています。
・弦
弦は音色に直接影響する重要部品ですが、多くのサイトで紹介されていると思いますのでここでは説明を省略します。
・サドル
ウクレレの音色は第一に本体が重要ですが、弦とサドルもかなり強く影響します。演奏性には影響がないのですが重要部品だと思うのでサドルについて触れてみます。
サドルの主な種類はプラスチック、牛骨、人工象牙(TUSQ)、硬質木材が挙げられます。
牛骨は最も一般的でいい音がでます。
人工象牙もいい音で標準装備の機種もありますが、やや硬質な独特な音なので好みは分かれるかもしれません。私は一度試してみたことがありますが今は使ってません。
「人工象牙」というサドルがあるからには「天然象牙」のサドルも存在しますが、高すぎて庶民では選択肢に含まれないと思います。お金持ちの方は試してみてください。
硬質木材はまろやかでいい音を出すのでおすすめしたい素材でして個人製作家のウクレレによく搭載されています。なのですが、残念ながらウクレレ用(又はギター用)の硬質木材サドルというのは市販されていないようです。どうしてなのかなぁ?
私は硬質木材サドルの音色が好きで、大きいホームセンターで適当な板材を入手して自分で成形してサドルを作っており、私の手持ちのウクレレはほぼすべてが硬質木材サドルになっています。皆さんも是非試してみてください。
下記写真は自作木製サドルです。

「硬質木材サドル」がいい音が出るのなら「軟質木材サドル」はどうなのか?
う~ん、、分からないです。今度試してみますね。
廉価機ではプラスチックサドルがついていますが、これはあまり良くありません。牛骨などに交換しましょう。
他に、金属(アルミなど?)、ポリエチレン、ガラスなどで作ったらどういう音になるのか興味もありますが、ダメダメ音でしょうかね。
・サドル溝幅と溝深さ
多くの人は定期的に弦交換をされていますが、サドルを自分で交換をする人は割と少ないかもしれません。
理由としては劣化する部品ではないこと、サドルによる音色の違いがあまり認識されていないこと、そしてサドル成形が面倒なことでしょう。
サドル交換自体は弦交換よりも楽なのですが、市販されているサドルを買ってきてもそのままではブリッジ上のサドル溝に挿入できないのでヤスリを使って幅と高さを自分で調整しなければなりません。これが面倒なのです。市販の牛骨サドルを適正寸法に成形するのには手作業で30分から1時間くらいはかかると思いますし、汗だくになってしまいます。ショップによっては加工してくれると思いますが、工賃はかかるでしょう。
なぜ最初から幅だけでも適正値に成形されていないのでしょうか? それはメーカーによってサドル溝幅も溝深さもバラバラだからです。溝深さはともかく溝幅だけでも統一してもらいたいものですが、実情は2.3mm~3.2mmくらいの範囲でばらついています。
上記のようにサドルは音色に影響を与える部品なので、逆にいえば交換して音色の違いを楽しむこともできるのですが各社の溝幅、溝深さに違いがあるので、
機材ごとに専用サドルを作らなければならず、複数のウクレレ間でサドルを交換するというようなことはできないのが実情です。そしてサドルの加工は大変なのです。
知り合いのウクレレ奏者に「この木製サドルいいよ。ちょっと使ってみない?」とお貸しすることもできないわけです。
サドル溝幅と溝深さも業界で統一してもらいたいと思っています。
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